そして美術塗装との出会い
僕が初めて”美術塗装”の世界に足を踏み入れたのは、美大を目指して浪人生活を送っていたときのこと。 プラモデルも絵を描くことも好きだし、それならとりあえず美大を目指そうかなぁと思って予備校に通っていました。
そこでたまたま、お世話になっていた予備校の先生から「面白そうなバイトがあるぞ」と現場の仕事を紹介してもらったことがきっかけでした。
それが美術塗装のお仕事だったんです。 初めてお手伝いしたのは有名テーマパークの新規工事。するとお願いされた作業が、どれもなんだか既視感があったんですよね…。そうです、小さなころから大好きなプラモデルの作業と一緒なんです!
「美術塗装って、プラモじゃん!」
「技法の名前は知らないけど、やり方は分かる!」
「あ、これ塗料をカサカサにして塗るやつだ!」
「このサビの表現とか小学校の時からやってるよ!」
「要するに1/1のディオラマだ!」
という風に、周りのアルバイトスタッフたちが戸惑っている中、プラモデルの世界で使っていた技術がそのまま活かせることに、ワクワクが止まりませんでした。そして慣れていた分、仕事を覚えるのも早かったんだと思います。難しいとはあまり感じませんでしたね。現場のスタッフさん方からも重宝がっていただけて、その会社のメンテナンススタッフとして残れることになり、あれよあれよと気付けばこの世界にドップリと漬かっていたわけです。
子どもの頃からの「好き」が仕事に。
そうして考えると、今の本業の美術塗装にしても、ホビーツールの販売にしても、全部子どもの頃から大好きなものがそのまま仕事になっていて、本当に幸せです。 実は昔、ガンダムの生みの親である富野監督のいらっしゃる撮影現場に入ったことがありました。もちろん、恐れ多くて遠くの方から尊敬のまなざしを送り続けるばかりだったんですが、「この人がいなかったら、自分は今ここにいない」と思うと、なんだか震えるような感情が沸き上がったのをよく覚えています。
僕は社会に出てからというもの、この仕事以外を経験したことはないですが、やっぱり天職だなと、今この場所にいれて良かったなと心から思えますね。
次回の記事で、ようやく「美術塗装とは?」という点に注目していきたいと思います。